テニスクラブの入会金の高さにびっくり!
それでもボクは、一縷の望みを抱き、親父に相談してみるのだった。
そもそも大学でテニスをやっていた親父だったが、
卒業後はゴルフに熱中してテニスはほとんどやらず。
しかも残念なことに、息子のボクには、中学生になる今日の日まで、
テニスをさせてくれることはなかったのだ。
さて、親父はボクのテニスクラブへの入会を認めてくれるのか?
それでは、『トップ1%プレイヤーへの道!』第3話、
『なんで日本にはテニスが硬式と軟式の2種類あるんだよ!』
をどうぞ!
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「まあ、あれだな。
テニスは学校のクラブでいいんじゃないか?
中学のテニス部で。」
黙ってチラシを見ていた親父が突然口を開いて、
ボクはふと我に返った。
そして、それと同時に、
ボクはガックリと肩を落とした。
やっぱりダメか・・・。
まあ、予想どおりの期待はずれ、といったところだ。
中学に入ると、学校には部活動というものがあって、
運動部系と文化部系があることは知っている。
でも、噂によると、
先輩後輩の上下関係が変に厳しかったり、
閉鎖的で独特な雰囲気を持った村社会みたいだったりして、
シゴキとかイジメとかが横行しているらしいのだ。
いわゆる、悪名高い『ブカツ』ってやつだ。
でも、それぐらいならまだ我慢もできる。
別に、シゴキだとかイジメだとか、そんなものは怖くない。
本当に怖いのは、上級生が引退してしまうまで、
つまり、自分たちが最上級生になるまで、
ほとんど練習らしい練習をさせてもらえないという噂なのだ。
上手くなれないことが怖いのだ。
強くなれないで、試合に勝てないことの方が本当に怖い。
「中学のテニス部かあ・・・。」
ため息まじりに、つぶやくボク。
本当に、魂が抜けていくような、ため息だ。
「ほら、中学のテニス部だったら、
授業が終わってすぐ練習できるだろ。
テニスクラブだと、1回家まで帰ってきてからだから、
行くだけでも大変だぞ。
練習時間も短くなっちゃうしな。」
それは、そんなに、大変じゃない。
ラケットを背中に担いで、自転車をこぎながら、
これからできるテニスのことを考えて、
そりゃもう、ワクワクドキドキって感じでしょ。
自転車こぎはウォーミングアップにもなるし。
それに、ナイター設備があるから、
逆にテニスクラブの方が、たくさん練習できたりもするのだ。
そう、毎日だ。
しかも、ちゃんとしたテニスコーチがついていてだ。
ボールもカゴいっぱいあるだろう。
あのスーパーにあるような車輪のついたカゴ2つのせられるヤツも。
先輩が引退するまで練習できないなんてことは、
もちろんテニスクラブでは絶対に有り得ないだろう。
でも、親父相手に、今さら何を言っても、
無理なものは無理だ。
お金を出すかどうか決めるのは親父だ。
親父の金なんだから、仕方がない。
「うん・・・。」
力なく返事するしかないボク。
「ただし、軟式しかないと思うけどね。」
突然親父から耳慣れない言葉が出て、
うつむいていた顔がすっと元に戻る。
え? なんじゃそりゃ?
テニスって1種類じゃないのか?
テレビでやってるあのテニスとは違うのか?
「なんしき? なにそれ?」
「ボールが軟らかいから、軟式。
で、ボールが軽いから、ラケットも軽くて細い。」
「あのテレビでやってるテニスとは違うの?」
「違う。あれは、いわゆる、硬式。
普通テニスと言ったら硬式のことだけど、
日本には、外国と違って、
硬式テニスと軟式テニスの2種類があるんだよ。」
「え〜! なんで、日本にはテニスが2種類あるの?」
「テニスというスポーツが日本に入ってきた時に、
あのケバケバのボールを作る技術が日本には無かったんだ。
しかも、その時輸入していたボールはすごく高価だった。
それで、代わりに、
軟らかいゴムだけのボールを作ってテニスをしたらしい。」
「それが、軟式テニス?」
「そうだ。
そうして、軟らかいボールを使ったテニスは、
本来のテニスとは違う独特のものに変化していったんだ。」
「テニスとは別の形に?」
「そう。
そして、それを特に盛んにやっていたのが、
今でいう教育大学の学生たちなんだ。
卒業して、中学や高校の先生になって、
日本中に軟式テニス部をたくさん作った、という話だ。」
「それで、中学には軟式テニス部のみの所が多いというわけ?」
「たぶん、そうだ。」
「でも、ボクがやりたいのは、普通のテニスなんだけどな。
硬式テニスの方。」
「私立中学とかだったら、
硬式テニス部も、ある所にはあるかもしれないな。」
「じゃあ、なんで公立にはないの?」
「たぶん、お金がかかるからだよ、硬式は。
あのケバケバのボールは今でも結構高いんだ。
それに、すぐ使えなくなっちゃうからね。」
「そうかあ・・・。」
「野球だって、卓球だって、ボールはある程度ずっと使えるけど、
テニスボールのケバケバはすぐはげちゃうし、
それに空気だってすぐ抜けちゃうんだ。
それで、ボール代が高くついちゃうから、
テニスはお金のかかるスポーツなんだよ。」
「テニスクラブも高いしね。」
「そう。それもある。」
「サッカーやバスケやバレーのボールも、
そういえば、ある程度、ずっと使えるしなあ。」
「だから、金持ちの子供の多い私立中学だったら、
あるところはあるんじゃないか。
よくは知らんけど。」
「でも、ボクは、あのテレビで外人がやってるテニスが、
いいんだけどなあ。
そんな日本にしかないテニスじゃなくて。」
「とりあえず、中学で軟式やっといて、
高校から硬式に転向したらいいんじゃないか。」
「いや、最初から硬式の方がやりたいなあ。
だって、あの外人選手なんか、7歳からやってるって言ってたし。」
「日本では、中学で軟式やってて、高校から硬式に転向して、
プロになって、世界のトップまで行った人もいるから大丈夫だ。」
「え〜! そんな人いるの?」
「いるいる。だから、心配するな。」
心配するな、でごまかされたボクだが、
ごまかされたとしても、されてなくても、どっちにしたって、
どうせ、テニスクラブには入れないのだ。
親父に今さらゴチャゴチャ言っても仕方が無い。
硬式テニスがやりたいと言ってもできるはずもないのだから。
この時親父が言っていたのは、たぶん、
神和住純(かみわずみ・じゅん)のことだったと思う。
ボクは、彼が中学が軟式で高校から硬式、
というプロフィールが真実かどうかは知らないし確かめてもいない。
でも、言えることはただ1つ。
高校から硬式に転向しても強さを発揮するには、
少なくとも中学も高校も強豪テニス部でないと無理だということだ。
そうでなくても強くなったという人も、
当然例外としているのかもしれないが、
それでも最低でも普通のテニスコートがちゃんとなかったら、
話になってなかっただろう。
テニスクラブに入れなかったこの時点で、
ボクがテニスで強くなるための道は、
最初から、かなり険しいものとなってしまったのである。
(第4話につづく)
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他に、ボクが入れるようなテニスクラブは、近くにはもう無い。
だから、中学のテニス部に入るしか道はないのだ。
ところが、初めてその中学校に行った入学式の日、
そこにはテニスコートが無いことに気づき愕然としてしまう!
ということで、場面は、
第1話『テニスコートが無い!』に戻るわけです。
テニスコートが無いことに愕然としていたボクが、
第2話、第3話と、それまでのいきさつを振り返っていたわけです。
さあ、果たして、テニスコートのない中学に、テニス部はあるのか?
次回『トップ1%プレイヤーへの道』第4話、
『野球とサッカーは男のスポーツで、テニスは女のスポーツ?(予定)』
を乞うご期待ください!
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それでは、今日第3話のワンポイント・フィロソフィです。
フィロソフィ(philosophy)とは哲学のことです。
ここでは、哲学を、自分自身の経験などから得られた基本的な考え、
という意味で使っています。
『 テニス(硬式)で強くなりたかったら
最初からテニス(硬式)をやるべきだ 』
『 幼児の場合もソフトテニス(軟式)ではなく
スポンジボールのキッズテニスから
テニス(硬式)へとつなげていこう 』
『 ソフトテニス(軟式)しかできない環境なら
とりあえずそれをやった方が何もやらないよりは全然ましだが
あとで転向する時点で技術的な変更の間違いを犯してしまうと
その経験を上手く活かせず技術的に伸び悩んでしまうから要注意 』
中学でソフトテニス(軟式)をやって、
高校からテニス(硬式)に転向して強くなったというのは、
あくまで結果的にそうなったというだけで、
それは、テニス(硬式)で強くなるための方法ではない、
とあえてボクはここで誤解のないように断言しておきます。
それは、結果論であって、方法論ではない、ということでもあります。
だから、テニスで強くなりたいのであれば、
最初からテニスをやりましょう。
幼児でも、テニスで上手くなって欲しかったら、
キッズテニスから、
テニスへとつなげてあげましょう。
それから、ボクは、
ソフトテニスからテニスへの転向時に、
技術的な変更をする際に、致命的な間違いを犯してしまいました。
その間違いがなければ、
高校ではもっと強かっただろうし、
大学ではさらにもっと強くなっていたと思います。
なにしろ修正したのは社会人になってから。
修正後は自分でも信じられないぐらいの技術的な進歩がありました。
その間違いとは何か?
なぜ、その間違いに気付かなかったのか?
なぜ、そんなに長い間修正することができなかったのか?
詳しくは高校編・大学編・社会人編でお話しすることになると思います。
昔と違って今そんな間違いをすることは確率的には少ないとは思いますが、
あなたがボクと同じ様な致命的な間違いを犯さないためにも、
あるいは、ソフトテニスからテニスへ、
より有利に転向するためにも、
ぜひこのメルマガを読み続けてください。
こういった長年にわたった失敗と成功の体験の組み合わせは、
将来的にテニスへの転向を考えているソフトテニスプレイヤーの方や、
すでに転向している方、だけでなく、
最初からテニスをやっている方にとっても、
大変興味深い話の内容になるのではないかなと思っています。
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