近くのファミレスで晩メシを食うことになった。
もちろん、ボクの分はアキラのおごりだ。
「やったー、アタシのもおごりだー」
「あほっ! オマエは自分で払え!」
「ちぇっ! ケチ!」
「で、さっき言ってた、せんじゅつって何?」
席に着くなりユミが待ちきれないとばかりにアキラに聞いてきた。
「オレはレイジの言う通りにやっただけで、
意味はよくわかんないから、レイジ、説明してくれよ。」
アキラがこっちを見る。
ボクはアキラの目を見ながら黙ってうなずく。
「あのね、戦術というのは、
読んで字のごとく、戦うための術、ということ。」
「ああなるほどね!
あの葉っぱを頭にのせて呪文を唱えるヤツね!」
「そうそう、忍法葉隠れの術!・・・
・・・っておい! それは忍術! ボクが言ってんのは戦術!」
「ごめんごめん!・・・ あっわかった!
あの柔道の元となった日本古来の武術で、
ブラジルにも残ってたヤツね!」
「そうそう、マウントポジションからの腕ひしぎ逆十字!・・・
・・・っておい! それは柔術! ボクが言ってんのは戦術!」
「ごめんごめん!
それで、戦うための術ってどういうこと?」
「あのなあ・・・
ではまず、戦術の一般的意味から勉強しよう。」
と、ボクはシステム手帳を取り出す。
「戦術とは、英語では、タクティクス、tactics。
そして、辞書では、
『個々の具体的な戦闘における戦闘力の使用法』
となってる。」
「あっそう。で、テニスではどういう意味になるの?」
「ボクは、テニスにおける戦術とは、
1ポイントをとるための戦い方、
と定義してるんだ。」
「なるほどね。」
「そして、戦術とは、
『普通、長期・広範の展望をもつ戦略の下位に属する』もの、
となってる。」
「えっ、何? その、せんりゃくって?」
「戦略ってのは、英語では、ストラテジィ、strategy。
そして、これも同じく辞書では、
『長期的・全体的展望に立った闘争の準備・計画・運用の方法』
となってる。」
「ふーん、で、それも同じく、テニスではどういう意味?」
「ボクは、テニスにおける戦略とは、
1ゲームをとるための戦い方、あるいは、
1セットをとるための戦い方、
またあるいは、単に、その試合に勝つための考え方、
と定義してるんだ。」
「あーそう。 うーん、わかったような、わからないような。」
「それで、戦略とは、これも同じく辞書では、
『戦略の具体的遂行である戦術とは区別される』もの、
となってる。」
「なるほどね。よくわかんないけど、まあいいや。
で、アキラに教えた3つの戦術ってのは、
具体的にどんなことなの?」
「それはね、・・・」
(つづく)
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