前回をお読みでない方、もう一度読んでおきたい方はこちらで。
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ジャンピングショットは、
結果的に跳び上がって打つ、ことになるわけですが、
先に跳び上がってから打つ、という打ち方もあります。
これがまさしく、ジャックナイフです。
トッププロでは、例えば、
セバスチャン・グロジャンやギレルモ・コリアがよく使いますよね。
これは主にバックハンドの両手打ちでよく使う技術ですが、
もちろんフォアハンドで打つこともできます。
今年全仏で準優勝したマリアノ・プエルタが、
決勝戦でも時々使っていました。
それから、両手打ちだけでなく、
片手打ちのバックハンドのトップスピンでも、
似たような打ち方をすることがあります。
サービスリターンで、
オープンスタンスのまま上半身だけひねってラケットを引いて、
跳び上がるようにして打ってから、
下半身を空中で、上半身とは逆の方向にひねって、
着地した時にはクローズドスタンス気味になるという打ち方です。
アメリー・モレスモや、ロジャー・フェデラーが、
このような打ち方をするのを時々見ます。
相手の速いサーブをリターンする時は、
前足を踏み込んで打つ時間的な余裕が無いことが多いので、
オープンスタンスのまま打つことになるわけですが、
これを、片手打ちバックハンドで、しかもトップスピンで打つ場合は、
跳び上がるようにして何とか体重を乗せようとしても、
上手く力が伝わりにくいし、バランスも上手く取れません。
ところが、ジャックナイフのように、
上半身と下半身を逆の方向にひねることで、
パワーを生み出し、バランスも上手くとることができたりします。
そもそも、ジャックナイフという打ち方は、
まるで雑巾を絞るかのように、
上半身と下半身を逆方向にひねり戻すようにすることで、
パワーを生み出しながらも、
同時に体全体のバランスをうまくとるという打ち方なわけです。
ですから、この片手打ちバックハンドのリターンでの打ち方も、
同じような力学的構造をしているので、
広義のジャックナイフと言っていいと思います。
ちなみに、ジャックナイフは、戦略的な武器ではないので、
試合において特に重要な技術というわけではありませんが、
今までお話ししてきたように、
より高い打点で、よりネットに近い所で、
しかも全体重をかけてボールを打つことができるので、
その時の状況によっては、
より有効な技術・テクニックだと言えるでしょう。
でも、片手打ちのバックハンドに関しては、
トップスピンにしても、スライスにしても、
前足を踏み込んで、前足に全体重を乗せてから打つことが、
ほとんどだと思います。
後ろ足に体重を残したままでも、打てないことはないのですが、
強い球は打ちにくいし、また、正確性も欠けます。
また、両足均等に体重を乗せたまま打つというのも、
同じように、強い球を打ちにくいし、正確性にも欠けます。
これは、ラケットスイングの中心点となる利き腕の肩と、
体重を乗せて踏み込んだ前足の脚の付け根が、
両方共ちょうど体幹の重心の軸線上に位置するので、
スイングが安定するし、体重をボールに乗せやすいからだと思います。
一方、フォアハンドに関しては、
前足をしっかり踏み込んで、前足に体重を乗せてから打つこともできるし、
両足に均等に体重を乗せたまま打つこともできるし、
後ろ足に体重を残したままで打つこともできます。
つまり、フォアハンドというのは、
融通の利くショットなのですが、
それゆえバックハンドよりも不安定であるとも言えるでしょう。
不安定であるからこそ、テニスで一番奥の深い技術で、
極めるのが一番難しい技術・テクニックです。
逆にバックハンドは、型にはまった打ち方ができるので、
安定感はあるのですが、その分融通が利かないので、
ちょっとでも型からはずされてしまうと、ミスしてしまうことになります。
フォアハンドで一番安定して打てるのは、実を言うと、
後ろ足に体重を残しておいて、
そこに溜めた体重をボールに乗せるように打つ打ち方です。
なぜなら、片手打ちバックハンドのように、
ラケットスイングの中心点となる利き腕の肩と、
体重を乗せた後ろ足の脚の付け根とが、
両方共ちょうど体幹の重心の軸線上に位置するので、
スイングが安定するし、体重をボールに乗せやすいからです。
一般的には、フォアハンドストロークというものは、
しっかり前足を踏み込んで、前足に体重を乗せてから、
打つべきだ、というのが、通説になっていますが、
本当は違うわけです。
もちろん、前足や両足に体重をかけて打ってはいけない、
というわけではありませんよ。
あくまで、比べると、どっちかと言うと、
後ろ足に体重をかけた方が、より安定する、というだけです。
フォアハンドストロークというのは、状況によって、
前足や両足に体重をかけて打った方がいい場合もあるし、
後ろ足に体重を残してから打った方がいい場合もあるし、
ジャンピングショットになる場合もあるし、
その時の状況に合わせて、より的確な打ち方を選択すべきなのです。
スタンスに関してもそうです。
スクエアスタンスの場合もあれば、
クローズドスタンスの場合もあるし、
オープンスタンスの場合もあるわけです。
例えば、浅くて低めの球だったら、
前足を踏み込んで打つことになるでしょうし、
その場合は、
スクエアスタンスやクローズドスタンスになることもあるでしょう。
逆に、深い球だったら、
後ろ足に体重を残したまま、
オープンスタンスで打つこともあるわけです。
どんなボールに対しても、常に踏み込んで打つことが大事なのではなく、
自分の体重をいかにボールに乗せることができるかが、
ストロークでは大事になります。
ちなみに、両手打ちのバックハンドに関しては、
利き腕とは逆の方の腕で打つフォアハンドという性格も持っているので、
両足に均等に体重を乗せたり、後ろ足に体重を残したままでも、
打つことができます。
ただこの場合でも、より安定するのは、
後ろ足に全体重を乗せてから、そのままボールに乗せていくやり方です。
今年のウィンブルドン女子シングルス準決勝で、
シャラポアを打ち負かしたビーナスが、バックハンドで、
長い足を折り畳むようにして腰を落とした低い重心のまま、
後ろ足に溜めた体重をボールにぶつけるようにして打って、
打ち終わったあとに、
前足を踏み込むように地面に着地させる打ち方を時々していました。
スローモーションで見た方の中には、
変な打ち方だなあと感じた方もいるかもしれませんが、
あれは非常に理にかなった打ち方なわけです。
そして、こういった体重移動を上手くやれるようになると、
ランニングショットというものが打てるようになります。
普通はストロークというのは、
一旦止まってから、
溜め込んだ体重をボールに乗せるようにして打つのですが、
やっと届くようなボールだと、
一旦止まってから打つのでは、
ラケットに当てただけで返すことが多くなります。
そんな打ち方では、体重をボールに乗せるのも難しいので、
弱い球になってしまうし、正確性も欠けてしまいます。
そこで、一旦止まってから打つのではなく、
走り込んできた勢いもそのままボールに乗せるために、
走りながら打って、打ち終わってから止まる、
という打ち方をします。
これがまさに、ランニングショットです。
走りながら打つので、
体重を乗せるどころか、体重とスピードを合わせた運動エネルギーを、
ボールに乗せることになるので、
より強い球を打つことができます。
正確には、運動エネルギーは、
体重に速度の二乗をかけて2で割った値ですけどね。
ランニングショットというのは、
打ち終わってから止まるので、戻るのが遅れるわけですが、
その分強い球を打つことができるので、
戻らなくてもいいような、
一発で抜いてしまうパッシングショットや、
弱い球しか返ってこないであろう、
ダウンザラインへのカウンターショットといった、
戦術的な武器として使うことになります。
止まってから打つのだったら、
ラケットになんとか当てるだけで返すことになって、
せいぜいネットについた相手の足元に沈めるか、
ロブやムーンボールで何とかその場をしのぐしかないのですから、
大きな違いです。
このランニングショットを身につけることができると、
自分のサイドのコートが狭く感じるようになります。
コートカバーリングが広くなったから、
そう感じるのでしょう。
今回は、速いサーブは打てるということで、
上半身のスイングには問題が無いと仮定して、
下半身について大事なことをお話ししました。
でも、サーブは縦振りで、ストロークは横振り、
という違いがあります。
つまり、
サーブは強く打てるけど、ストロークは強く打てない、ということは、
縦振りは得意なんだけど、横振りは苦手だ、
ということもあるわけです。
逆もよくありますからね。
ですから、次回は、別の同じような質問に対して、
では、上半身の振りをどうすれば、
ストロークで強い球が打てるのかについて、
お話しすることにしましょう。
それでは、まとめます。
『 片手打ちバックハンドストロークは
そのほとんどが前足に体重を乗せてから打つが
フォアハンドストロークは
前足・両足・後ろ足に体重を乗せた多彩な打ち方ができるし
それぞれにジャンピングショットを打つことができる 』
『 究極の体重移動ということで
ジャンピングショットやランニングショットが生まれ
高等技術のジャックナイフというテクニックが生み出された 』
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