前回では、上達し勝利するための『素振り』についてお話ししました。
さらに、より効果的なテニスの自主トレとして、
『壁打ち』こそが『キングオブ自主トレ』『自主トレの王様』である、
ということもお話ししました。
前回をお読みでない方で、今読んでおきたいという方、
あるいは、もう一度読んでおきたいという方は、
こちらの第29回の質問と回答をどうぞ。
→ 上達と勝利の大原則とは?最も有効な自主トレの方法とは?/質問回答第29回
そして、今回は、
「じゃあ壁打ちでうまくなるためにはどんな練習をすればいいの?」
という当然湧いてくるであろう疑問に対して回答することにしましょう。
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まずは、テニスで上手くなり強くなり勝つための、
最適な壁打ち用の壁を探すことからです。
理想を言えば、
壁にはネットのラインが引かれていて、
壁の高さはなるべく高く、その上にはフェンスが張ってあったりして、
下がハードコートなどの土ではない固いサーフェスであることです。
ネットのラインが無くてもある程度はわかるものですが、
やはり、よりこの練習を有効なものにするためにも、
きっちりとしたライン入りの壁で練習すべきです。
ラインが引かれていない壁しかなければ、その壁に、
きちんと測ってチョークなどを使って引く方がいいでしょう。
もちろん、ラインを引いてもいい壁かどうかを、
きちんと確かめてからです。
それから、壁が低いと、
ムーンボールなどの中ロブの練習がしにくくなります。
トップスピナーにとっては、中ロブの練習は非常に大事ですし、
フェンスが無いと壁の向こうに頻繁にボールをとりにいくことにもなり、
練習が効率の悪いものになってしまいます。
そして、下がクレーなどの土だと、
壁に近い所の土が凸凹に荒れていたり草が生えていたりして、
特に、壁を使ったスマッシュの練習がしにくくなります。
「整地すれば簡単にキレイになるんじゃないの」
って単純に思うかもしれませんが、
一旦荒れてしまったクレーの壁沿いの部分を平らに固くするのは、
結構大変なことなんです。
ですから、スマッシュの練習がしにくくなるという心配も無く、
クレーと違ってイレギュラーの心配も少ない、
ハードコート系のサーフェスの方がいいのです。
ちなみに、壁を使ったスマッシュの練習とは、
壁にボールを1バウンドで当てて、
何度も続けてスマッシュするものです。
アンダースピンのかかったロブになるので、
スライスロブをスマッシュする練習がたった1人でできちゃいます。
だいたい5回ぐらいきちんと続けられるようになれば、
かなりスマッシュが安定してきたと言ってもいいでしょう。
そして、この練習はスマッシュのコンディショニングにも役立ちます。
ただし、これはあくまで、
中位の高さのスライスロブのみに対応するスマッシュだ、
ということを忘れてはいけません。
壁打ちで返ってくるスライスロブは、
どうしてもちょっと低めのロブになってしまうし、
トップスピンロブやフラットロブとは、
打つタイミングがちょっと違ってきます。
ちなみに、ボクの場合はスマッシュが完璧になってからは、
最高で10回ぐらいはできたりしていました。
これ位安定してくると、
スマッシュを戦術的・戦略的な武器として使うことができます。
また、技術的にも、
意図的に叩きつけてフェンスを越えるようにしたり、
角度を思いっきりつけてサイドフェンスに当てるようにしたり、
スマッシュにスライス回転をかけてワイドに相手を追い出したりとか、
スマッシュをかすらせてドロップショットにするといった、
高度な技術もできるようになってきます。
スマッシュのドロップショットなんかは、
ミスする確率が高いので試合では絶対に使いませんが・・・。
そもそも、スマッシュの技術は、
ストロークの技術と比べると、はるかに底が浅いです。
ですから、スマッシュを完全にマスターすることは、
そんなに難しいことではないのですが、
ほとんどのテニスプレイヤーが出来ないでいます。
それには、やはりそれなりの理由があるのですが、
逆にそこが断トツで強くなるための1つの大きな鍵です。
それに、ボクは、スマッシュを、戦術的に、
『シコラー殺しの3大武器』の1つと位置づけています。
スマッシュは、ポイントを締めくくる『最終兵器』の1つでもあるので、
この技術が100%完全でないと、
シコラーの『恐怖のロブ地獄』にはまって抜け出せなくなってしまいます。
考えるだけでも恐ろしいことです。
話が脱線してしまいました。
元に戻しましょう。
それから、壁打ち用の壁は、もっと理想を言えば、
そこに屋根があって、雨や雪の日でも練習できることです。
さらに理想を言えば、
暗くても何かしらの明かりからの光が届くような所で、
夜でも練習できることです。
『エースをねらえ!』では、緑川蘭子が、毎日のように、
夜、街灯の明かりで、壁に向かってサーブの練習をしていました。
でも、現実的には、女の子が一人で、
人通りの少ない所で、しかも夜に壁打ちをするのは、
大変危ないので、やめておいたほうがいいと思います。
あと、壁が斜めに上を向いていて、
自然と勢いのあるボールが返って来るように計算された、
高機能(?)の壁打ち用の壁がありますが、
そんな壁が近くにあればラッキーです。
さらに、壁の手前のサーフェスに、
ハーフコートのラインが引かれてあるのも、
実戦をイメージした壁打ちをする事ができて、
さらに高機能と言えます。
この場合、特に、サーブの練習では、
実際にベースラインのいつもの位置から打つことができます。
これだと、普通のテニスコートでの練習に近い上に、
しかも、ボールがたったの1球だけしかなくても、
比較的連続して打てるので、
大変効率的な練習ができます。
でも、壁が真っすぐでも、ハーフコートのラインが無くても、
上達し勝つための練習をするには機能的にはそれで全く充分です。
壁打ち用の壁は、
テニスクラブや公営のテニスコート、
学校のテニスコートには大抵あるので、
そこで練習できるのであればもちろんそこでやるべきです。
そして、できれば、料金がかからず、
時間的・物理的な制約も無い所だと、
よりいいわけです。
例えば、体育館のピロティの壁とか、
鉄道の高架下や橋の下のコンクリートの構造物とか。
自宅の近くに理想的な壁が無いかどうか、
自転車などで探してみるのもいいかもしれません。
あるいは、インターネットなどで、
テニスの壁打ちの名所が近くにないか、
探してみるのもいいかもしれません。
ただし、マンションや団地など住宅関係の壁とかは、
やめておきましょうね。
例えソフトテニスの軟らかいボールでも、
結構響きますから、大変な迷惑になります。
それから、とにかくいくら理想的な壁だといっても、
ちょっとでも雰囲気的にヤバそうだと思える所は避けてくださいね。
最近では、女の子だけでなく男の子でも危ないし、
大人でも安全とは言えなくなってきていますので。
くれぐれも危ない目に遭わないように、念のため。
テニスで上手くなるどころの騒ぎではなくなりますから。
それでは、次に、
壁打ちでの効果的な練習方法について考えてみましょう。
まず、最初の目標は、
一番得意で確率の高いショットで、
例えば、フォアハンドのフラットドライブとかで、
それで何球続けることができるか、に挑戦します。
バックハンドにきても強引に回り込んで、
フォアハンドのフラットドライブで返します。
記録を伸ばすためには、
一番確率の高いショットのみで打つ必要がありますので、
そのショットのみでひたすら打ちます。
これはもちろん壁打ちに限ったことではないのですが、
遊び感覚で楽しくやる方が長続きします。
といっても、スポーツは元々遊びなので、
当たり前のことですが。
例えば、何回続けられたか友達と回数を競ったり、
仮想の相手選手との試合をイメージしながら、などです。
ビヨン・ボルグが9歳の時に誰にも何も習わずまったくの自己流で、
自宅の車庫の壁を相手にテニスを始めたことは有名な話ですが、
その時、自分はスウェーデン代表で、
壁はアメリカ代表の一流選手だと勝手に想像して、
この1球を返せたら勝ち、返せなかったら負け、
という一球勝負を楽しんでいたこともよく知られています。
それに、その当時では珍しいウエスタングリップで、
こすり上げるようにリフトして打ち、
バックハンドでは力が足りずに、
ラケットを両手でグリップするという、
当時のテニスの教科書からすると、
かなり変則的な打ち方のクセをつけてしまっています。
でも、そこに1つのテニスの本質があります。
それは、その時の彼にとって、そのフォームこそが、
朝から晩まで車庫の壁と闘い続けても、
少しも疲れることなく飽きることなく楽しむための、
自分で自然に身につけたフォームだった、
ということです。
また、ボリス・ベッカーが、
まだ小さい子供だった頃の、壁打ちをしている映像で、
大きくて長くて重い大人のラケットに、逆に自分の体を振り回されて、
あっちをフラフラこっちをフラフラしながらも、
延々とラリーを続けているのを見て驚いたことがあります。
フォームはもう滅茶苦茶です。
フォーム第一主義のジュニア育成のテニスコーチが見たら、
卒倒するような光景です。
17歳でウィンブルドンで優勝した時の、
あの華麗で力強いフォームはその時にはまだ面影さえありません。
でもボクはここにもテニスの1つの本質を見たような気がしました。
一般的に理想的で綺麗だと言われているフォームで打ち損なうよりも、
まずはとにかく、テニスというのは、
へっぴり腰でもボールを返し続けることの方が大事なのだということを。
へっぴり腰でもボールをきちんと返すそのフォームこそが、
その時にその人がとるべき最良のフォームなのだ、
ということをです。
話を元に戻しましょう。
壁打ちでのラリーが延々と続くようになって、
自分で終わらせない限り終わらないようになれば、
あなたは立派な中級者になったと言えるでしょう。
ただ、ここまでなるべく速く到達したいのならば、
絶対にやってはいけないことがあります。
壁打ちをしているほとんどの人がやってしまっていることです。
それは、2バウンドで平気で打つことです。
よく見かけます。
壁打ちの球は勢いが無く、
しかも、通常のラリーより2倍早く返ってきます。
相手がネットの向こうからボレーで返してくる感じになりますが、
ネットの位置で跳ね返るわけですから、
それよりもさらに早く返って来るわけです。
そのため、ちゃんと1バウンドで返そうと思っていても、
あっという間に2バウンドしてしまうことがあります。
でも、そうなってしまったら、
ボールはそこで必ず一旦止めましょう。
たとえ壁打ちでも、2バウンドしてしまうのが平気になってしまうと、
それがクセになってしまって、
実際にコート上でも、短い球に対して、
体が無意識の内に止まってしまうようになります。
これが、かの有名なテニスで上手くなれない病気の1つ、
『短いボールに凍りついてしまう症候群』です。
ここで、思い出してください。
綺麗なフォームで打つことよりも、
へっぴり腰でも何とか相手コートに返すことの方が、
テニスでは重要であるということを。
グリップを薄めに握って、ラケットの面を上に向けて、
スタンスを広くとって腰を落として、
ラケットを持った手を思いっきり伸ばして、
軽くスライス回転をかけるようにして、すくい上げて、
とにかくネットの上に向けて返すのです。
何とか返し続けながら、体勢を整えることが出来たなら、
通常の打ち方で打てるような距離に徐々に戻していって、
さらにラリーを続けるようにします。
とにかく「そう簡単には2バウンドはさせないぞ!」
という気持ちを持つことが、
テニスで上手くなるためには大事なことなのです。
というよりも、それ自体が、テニスです。
それ自体が、テニスの試合の本質なのです。
それをお忘れなく。
まだまだ、壁打ちといっても、
上手さ強さ勝ちを追求するためには、
お話しすべき論点はまだたくさんあるのですが、
今回も非常に長くなってしまったので、ここまでにしておきます。
それでは、まとめます。
『 テニスの壁打ちで理想的な壁を
自分の身近で探して
そこを自分の特別練習場にしよう 』
『 壁打ちで最初にやるべきことは
何球続けられるかを競う楽しく真剣にやる遊び 』
『 テニスの壁打ちで絶対にやってはいけないことは
平気で2バウンドさせること
とにかくどんなに汚いフォームでも拾って返すことが
テニスでは大事なことなのだ 』
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