今回回答する質問メールも、
前回と同じくソフトテニス(軟式テニス)の選手からですが、
もちろん硬式テニスと共通の問題点ですので、
軟式の方でも硬式の方でも、
どちらでも参考になるように回答します。
<質問>
こんにちは
いつもこのメルマガを参考にしてます。
僕は中2の男子ソフトテニス部に所属しています。
テニスが好きで部活をがんばっているんですけど
前衛のボレー、ポーチ練習のときは
どこにボールがくるか指定されているのでうまくできますが
試合の時どこにくるかわからなくて
ボレーやポーチが全然できません
だから相手のどこをみて動くか教えてください!
<回答>
ポーチに出たいけど、
ストレートに抜かれたらどうしようって考えると、
なかなか出れない。
打ち頃の球がクロスを通るたびに、
ああ、今出とけばよかった、なんて後悔ばかり。
やっと決心がついて、
勇気を持ってエイヤッと出ると、
ストレートに抜かれてしまった!
この場合、あなたの動きはバレバレです。
ポーチに出なきゃ出なきゃという思いが、
体の動きに出てしまっていますから、
相手には見え見えなんです。
おまけに焦って早めに出てしまうから、
余裕でストレートに抜かれてしまう。
かといって遅く出ると、
クロスのボールにどうしても届かない。
届かないから、
ペアと重なってしまって、
「戻れ!」「いや、チェンジだ!」
なんてバタバタしてしまって、
こちらの陣形が崩れてしまって、
そのあと相手にいいようにされてしまう。
つまり、ポーチに出るタイミングがわからない。
そういうこともあって、
相手がどこに打ってくるかがわかりさえすれば、
自信を持って出れるのになあ、
って感じでしょうか。
軟式テニスに限らず硬式テニスのダブルスでも、
誰でも一度は経験することではないでしょうか。
相手の打つボールがどこにくるのかを、
相手が打つ前にこちらで予測して、先回りすることを、
『アンティシペーション』と言います。
英語です。『anticipation』と書きます。
もしかすると、ソフトテニス(軟式テニス)では、
あまり聞き慣れない長い英単語かもしれませんが、
硬式テニスでは、普段コート上でも普通に使う言葉のひとつです。
日本語では『予測』とか『読み』とか言われることが多いですが、
ボクはこの訳は不充分だと思っています。
相手が打つコースを『予測』するだけではなくて、
それを『見越して』そのコースに『先回りする』、
といった、こちらの行動も含んだ言葉だとボクは思います。
えっ!相手がどこに打つのかわかるなんて、
ひょっとして超能力の一種!
と今思ったあなた。
いいえ、違います。
テレパシーなどといった超能力の一種ではありません。
でもボクは、これは、
相手の心を読む読心術に似ていると思っています。
確かに普通の人にはできないものですが、
意識的に訓練すれば、できるようになるものだと思います。
でも、できるようになるといっても、
いつどんな相手でも常に100%というわけにはいきません。
それに、相手も当然読まれないように工夫してきますから、
そこには大変な駆け引きが発生してきます。
また、この技術は、素人目にはまったくわかりませんから、
知らない人が見ると、
「妙に反応がいいなあ」とか、
「異常に足が速い!」とか思ってしまいます。
それから、このアンティシペーションが一番必要とされるのは、
シングルスでネットに出た時ですが、
ポーチなどダブルスでも大変重要です。
でも、アンティシペーションは、
ボレー対ストロークの時だけ必要なのではありません。
ベースラインでのストロークの打ち合いでも、
バンバン使います。
この技術が得意な人と言えば、
トッププロの中でも、ボクの印象が強い人としては、
マルチナ・ヒンギスですね。
ヒンギスは、相手が打つ前に動くことが多く、
まるで、相手が、ヒンギスの動いた所に、
わざと打っているように見えることがあります。
相手がひどく間抜けに見えてくるのです。
「私がそこに打てばあなたはここに返してくるのよ。
だから私はここに先回りしておいて、
あなたのそのオープンコートに、
こうやってノータッチエースをとるのよね。」
って感じです。
相手を小バカにしたようなテニスなので、
憎たらしいことこの上ないんですが、
こういったテニスができるようになれば、
今よりもはるかに楽で安定した闘い方ができるようになります。
話が脱線してしまいました。
今回は、ダブルスにおけるボレー、
特に、ポーチの技術についてお答えします。
まず、ポーチにおいては、
どのタイミングで出るか、
というのが一番重要です。
早いタイミングで出てしまえば、
空いたストレートに打ち込まれてしまうこともあります。
遅いタイミングで出ると、
クロスの球に届かなくなってしまうことが多くなるでしょう。
ですから、相手がこちらの動きに気づいても、
クロスに打つことを変更できないギリギリのタイミングで、
こちらはポーチに出る必要があります。
そのタイミングというのは、
相手のラケットがバックスイングを終えて、
フォワードスイングに入った瞬間です。
つまり、ラケットをテイクバックして、
後ろに引き終わって、
前に振り出そうとした瞬間!
この、『前に振り出そうとした瞬間』は、
もちろんまだボールにインパクトはしていませんが、
この瞬間には本人はもうどこに打つか決めていて、
それは変更できないのです。
このタイミングが人間の反射神経の限界です!
机上の空論ではありません。
何百回もこのタイミングでポーチに出て、
相手のリターンを餌食にしてきました。
このタイミングを身につけてしまうと、
もうダブルスでネットにいるのが楽しくて楽しくて、
もうこれなしでは生きていけないってぐらいクセになります。
特に、リターンが浮いてくれば、
もはやハイボレーで角度をつけるなんて手ぬるいことはしません。
素早く構えてスマッシュで叩きつけます。
当然ワンバウンドで後ろのフェンスを越えるでしょう。
相手は一瞬何が起こったのかわからないといった顔で、
凍りついたように呆然と立ち尽くすはずです。
あるいは急角度のスマッシュを打ち込みます。
3コート向こうぐらいまでボールが転がっていって、
相手が他コートの人に頭を下げながら、
ボールを取りにいくことになるでしょう。
あ〜気持ちいい!
快感です。
もうこうなってしまうとネットの暴れん坊になれます。
傍若無人の限りを尽くすことができます。
ちょっと前にいる相手のペアにボールはぶつけるわ、
思いっきり角度をつけてドロップボレーするわで、
もう手がつけられません。
やりたい放題です。
なんだか興奮してきました。
つい取り乱してしまいました。
すみません。
話を元に戻しましょう。
と思ったら、スペースがなくなってしまいました。
残りの半分は、次回第11号で回答させていただきます。
では、今日のまとめです。
『 ポーチに出るタイミングは
相手のバックスイングが終わって
フォワードスイングに変わる瞬間
つまり、
後ろに引いたラケットを
前に振り出そうとした瞬間 』
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